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・日時 | : | 2011年 1月24日(月) |
・時間 | : | 18:00〜20:30 |
・会場 | : | 昭和の森山荘 |
・参加者 | : | 行政職員・商工会・住民 計17名 機構 1名 RAC 4名 |
・日時 | : | 2011年 1月25日(火) |
・時間 | : | 13:00〜14:30 |
・会場 | : | 糸井地区見学会 昭和村役場会議室 |
・参加者 | : | 行政職員・商工会・住民 計16名 機構 1名 RAC 4名 |
第三回研修会は、講師にはこれまでと同じく福井隆 先生、真島俊一先生をお招きし実施したが、単に講演だけでなく、参加者で糸井地区のまちなみを見学することをとおして、景観とまちづくりについて考えることとした。また、前日の24日は夜なべ懇談会と称して、講師のかたがたを囲み住民との交流会を催した。
夜なべ懇談会は、24日夜6時半から、昭和村川額の宿泊施設「昭和の森山荘」で開かれた。食事・懇談で打ち解けながら、本音とアイデアを出し合うことが狙いで、住民側からの要望もあって実現した。講師の福井隆先生、真島俊一先生と、機構から派遣された専門家として埼玉県飯能市で設計活動をされるとともに、NPO法人天覧山・多峯主山の自然を守る会代表理事を務める浅野正敏先生をはじめ、昭和村住民、街・建築・文化再生集団など21人が出席した。
25日は午後1時から、村役場を起点に糸井地区内を歩いて探るまちあるきを行った。役場会議室でまず福井先生が、「伝える」というスライド(PDFをダウンロード)をとおして、「情報が多過ぎる時代だから、面白いからあれもこれも伝えようというのでは通じない。地域個性を把握し、個性を魅力的に、しかも一言で表現することが大事です」と説明し、こうした視点から自らの町を見直すようにアドバイス、役場に近い○○家、加藤家、金子家、高橋家と、明治20年に建設されたと思われる旧警察分署・旧糸之瀬役場跡を見学した。加藤家や高橋家では、古い養蚕道具の残る2階蚕室の懐かしさにひたったり、「殿様便所」と呼ばれた便所や客間の豪華さに驚いたりしていた。「どこの家も松をきちんと手入れしていた」と庭の手入れぶりに感心する住民も見られた。
役場に戻り、まず浅野先生の講演を聞いた。浅野先生は、飯能市が環境省のエコツーリズム・モデル地区に選ばれ、普段は気がつかない地域の掘り起こしを通じて得た体験を披露。里山の自然を守る会が、市街地周辺の里山の民間開発をストップし、開発企業と市民が共に腕を組んで森を守る活動を行い、学びながらルールを作っていると紹介した。昭和村の大型養蚕民家に「感激した」が、「飯能でも茅葺き民家がいつの間にか半減していた。何もしなければなくなるだけ」と危機意識を持つように訴え、「結局はいかに良い生活を目指すか。住んでいる町が誇りに思えるように輝くことが大切」と結んだ。
まちあるきに加わった住民には糸井地区の印象も語ってもらった。「車で通り抜けるだけでは分からないことが発見できた」「あらためて地域の財産だと感じた」「きちんと保存していく必要がある」など、夜なべ懇談とは違う印象を語る人が多かった。中には「子どもに教え、次代に伝えられるように勉強しなおしたい」「野菜農家だが、見て楽しいぐらいの畑作にしたいと思うようになった」「これから昭和村河岸段丘物語が始まると感じた」など、意欲的な意見も出た。
真島先生は、この二日間の印象をまとめたうえで、4点の注文をつけた。
4点は、@養蚕民家を残すには個人負担だけではなく、国の補助を受ける必要があり、この建物が村外に出しても文化的に特徴的なものといえるかどうか、歴史と特徴を説明する必要があるA水の使い方も村内各地域で異なるルールがあったことを説明するB外と戦っても勝てるモデルの建物を選び、歴史と特徴を説明できるものを公開するC建物は古いままでいいというのではなく、高齢化への対処も組み入れた快適な建物・生活を提案する。
そのうえで、「昭和村スタイルというものを打ち出していく。3年計画でモデルを選び、後の3年でモデル事業を推進する」と提案、そのためには、歴史を明らかにするための文献・資料も必要と指摘した。
最後に福井先生が、この日に撮影した昭和村の風景を加えた「昭和の光」と題したスライド(PDFをダウンロード)をとおして、「きょうは『光と影』が同居する村をテーマにしたが、歩けばいくらでも良さが掘り起こせる村。こんな村はそんなに多くない」と昭和村の多彩さを誉め、養蚕民家で見た「金銀のふすまには驚いたが、どこをどうとらえて打ち出すと皆さんの暮らしにあうようになるのか。山ほどできることがあり、真剣に議論して前へ踏み出して下さい」と激励して講演を終えた。