活動の概要と手順

 下記に活動フローを示す。黒字は当初の計画で、赤字が実際の工程である。私たちの目論見にズレが生じ、住民との活動の中心が10月末以降になってしまった。昭和村では、農業が産業として生きていることは前述したが、農閑期が無く、強いて時間をとるとすれば、1〜3月の期間である。この事は、活動に積極的に参加している住民を除いて、必然的に大多数の住民にとっての関心事は、日々の農事にあり、また、経済的にも豊かな農家が多く、村の資産である景観資源の危機を直截的に訴えても反応は弱い。但し、当初から、私たちは、単に建築的な景観保全を求めていた訳でなく、現代農業と密接に結びついた集落景観(養蚕民家で形づくられた歴史的景観)の保全と活用を提案していた。このことから、ワークショップでは、これからの農業と地域資源の活かし方、生業と密接に結びついた景観保全を話しあう事が出来た。

 また、地域資源の活かし方についても、昭和村だけで考えるのではなく、絹産業をテーマとして、かつて絹で結び付いていた地域とネットワークを構築し、地域間交流から地域づくり考える試みを開始することが出来た。(長野県上田市・東御市・東京都多摩地区そして横浜を軸に)

表-2 平成22年度活動フロー
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  住民メンバーを入れてのキックオフミーティングの後、村長・副村長・総務課長・企画課長・産業課長を交えて、活動内容の合意、行政側の窓口の決定等を行い、次に、地域の代表者(糸井区長会12区の内、8区長と財産区長の9名出席)に活動内容の説明を行い、協力を依頼する。

 活動手順を示すと
@地域の歴史的建築物・景観資産調査:
 歴史的建築物等の確認調査と景観マップ作成である。地域住民に地域資産の認識を促し、保全・活用への第一歩を踏み出すための調査である。登録有形文化財に推薦するための調査も行った。
A景観保全と地域の歴史的建築資産の再生:
 再生・活用実験には至らなかったが、歴史的建築資産の再生のための住宅無料相談を行った。助成期間外であるが、3月まで行う予定である。
B地域住民との研修会:
 研修会・ワークショップ・地域間交流を4回開催した。今回のプロジェクトで最も成果が見られた。参加した地域住民には、農業だけでなく地域資産として集落景観の重要性の認識が生まれた。
C情報発信や地域間交流
 HPでの情報発信と研修会で地域間交流(長野県上田市・東御市・横浜市)と行う。
11月にRACの自主事業で、今回のプロジェクトに関連して「絹物語・地域間交流から地域づくりを考える」をテーマに、上田市で研究集会を開催する。