今後の課題

 今回の活動では、具体的な養蚕民家の再生・活用提案、活用実験には至らなかったが、村民の意識は、以前と比較して、養蚕民家と集落景観を地域資産であると、強く考えるようになった。

 重要なことは、生業であるこれからの農業にとって、景観資源が重要な役割を果たすことを示せるか、農産物に付加価値を付ける事が出来る景観資源の再生・活用の知恵を出すことが課題であると思われる。今、農業の生産から販売までの六次化が提起されている。しかし、私たちは、生産者の生活環境もそこに入れることを提案する。安心・安全で美味しいモノを生産する農業者は歴史や豊かな生活文化に囲まれている。それらを大事にする生産者である。これらのことが解決すれば、地域の歴史や生活文化の継承も自然と行われ、養蚕民家も再生・活用され環境に優しい建築物として使用されるであろう。

 昭和村の農業は、現在活気を呈しているが、国際的な農業問題が示すように、今までのやり方では対応できなくなることは明白である。昭和村に於いては、地域が疲弊する前に、手を打つことが可能である。住民が意識して全ての地域資源を関連付けた活用を考えることが出来るかに掛かっている。景観資源の保全・活用は、農業の活性化の為の重要な資源であると、私たちは考えている。