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・日時 | : | 2011年 2月 7日(火) |
・時間 | : | 7:30〜18:30 |
・会場 | : | 長野県東御市(海野宿)上田市上塩尻 |
・参加者 | : | 行政職員・商工会・住民 計13名 RAC 2名 |
東御市と上田市はかつて小県郡と呼ばれていた地域で、信州の蚕種製造の中心地であった。調査によると、昭和村には信州の蚕種が数多く入っていることが判明した。おそらくこの地域から、鳥居峠を越えてもたらされていたのであろう。特に海野宿と上塩尻はこの地域でも、蚕種製造で有名なところある。また、当時の景観が地域の方々に守られ、残されていることでも良く知られている。海野宿は養蚕町として国重伝建地区に選定されており、上塩尻地区は重伝建地区を目指している。
・海野宿
昭和62年に重伝建地区に選定されている。
昭和村の集落も視野の先には重伝建地区がある。私たちの関心も、海野宿保存会が普段どの様なご苦労されているかお聞きしたい。
宿内見学の前に、小林会長のガイダンスを受ける。小林会長のお話では、保存会の会員は、本海野地区全戸数500戸が会員で、その内、伝統的建造物の所有者は約110戸であり、会の運営は会員から選任された40名の役員がおこなっている。無償のボランティアで活動しており、観光案内は会を中心に行っている。伝統的建造物所有者いがいの方も役員として活動し、また、地域全体で宿を守ろうとしている。さらに、会の方針として観光化は目指していないとのことである。残念なことに心ない業者が宿の入り口で店を開いており、イメージを損なっている。
海野宿は、北国街道の宿でなく、蚕種製造の聚落として重伝建地区の選定を受けている。地域間交流も蚕種・養蚕地域と行っている。下関市とも養蚕が縁で交流しているとのことである。
米山先生は、日本ナショナルトラストに在籍していた時に、海野宿の重伝建地区選定に関与されている。お話しでは、文化庁が当初、重伝建地区の選定は、伝統的建造物の住環境の整備が目的の一つであったとのことである。重伝建地区選定されると、地域の観光化が避けられない。所謂、観光公害からくる住環境の悪化である。観光は本来「国の光を観る」ことにあるが、訪れる側だけでなく受け入れる側にも大きな問題がある。白川郷の例をとっても、観光客でなく受け入れる側の観光公害(良くない例)が生じている。受け入れ側は、訪れる人に、偽物は見せない、売らないことが大事である。受け入れる側として全てボランティアで負担するのではなく、地域維持のためにも企業化が求められる。但し、組織は開かれた、構成員に対して平等なものでなくてはならないとの助言を頂いた。1時間ほどの話し合いの後、宿見学を行った。
宿を見た感想としては、蚕種が生んだ富の大きさを充分に知ることが出来た。
午後は、上田市上塩尻を訪れた。
・上塩尻
上塩尻も北国街道沿いの蚕種製造で栄えた集落である。この地区も古い集落景観が良く保存されている。此所でのキーパーソンは清水卓爾氏である。ご自身のお宅もかつて蚕種製造に携わっていて、当時の施設を保存し、必要な時に公開されているようである。
「参考」地域間交流 2010年度RAC研究集会IN上田 |